2018年に金融商品取引法違反などの罪で起訴され、保釈中の2019年12月に日本から逃亡した日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(69)が先月、名誉を傷つけられたなどとして、日産などに対して10億ドル(約1400億円)超の支払いを求める訴えをレバノンの裁判所に起こしたと、複数メディアが20日に報じた。
今回の訴訟は、日本で金融商品取引法違反などの罪で起訴されたゴーン被告による、汚名返上の新たな取り組みといえる。
ゴーン被告は不正に問われたことについて、日産とフランスの自動車会社ルノーの合併計画を頓挫させることが目的だったと主張している。
米ブルームバーグとロイター通信によると、ゴーン被告は名誉や信用を傷つけられたとして、日産とほかの2企業、関係者12人に対し訴えを起こした。9月に審理が行われる予定という。
ゴーン被告は裁判所への提出書類の中で、日本での嫌疑は「人々の心に何年も残り」、「たとえ単なる疑惑にもとづくものであっても、持続的かつ長引く影響があり、残りの人生において苦しめられることになるだろう」と主張していると、ブルームバーグは報じている。
日産はコメントを拒んだ。
ゴーン被告が支払いを求めている損害賠償額は、日産の市場価値(約160億ドル)の5%以上に相当する。
こうした中、日産とルノーは今年、資本関係を見直し、ルノーによる日産への出資比率を15%に引き下げて提携の「リバランスをする」方針で合意。最終調整を進めている。
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ゴーン被告はかつて、世界最大級の自動車製造グループ、ルノー・日産・三菱アライアンスを率いていた。
2000年代前半に倒産寸前だった日産の経営を立て直したことで知られ、2005年にはルノーの最高経営責任者(CEO)に就任した。ゴーン被告の公式経歴によると、フォーチュン誌の全米企業の総収入ランキング「フォーチュン500」に掲載された世界的企業2社を、同時に率いた初めての人物だという。
ゴーン被告は逮捕前、ルノーによる日産の合併を検討し、日産側から激しい抵抗を示されていたとされる。このことが、自身の失脚につながったと、ゴーン被告は述べている。
ゴーン被告は2018年11月に金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。その後、いったん保釈されたものの、中東オマーンの知人側に日産の資金を流出させたとして、会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕。2019年4月に東京拘置所から再保釈されるまで、計108日間勾留されていた。
2019年3月の最初の保釈の際には、作業員姿に変装して東京拘置所を出た。
同年12月、楽器ケースに隠れて、地方空港からプライベートジェットで国外に逃れ、世界的に注目を集めた。
フランスも逮捕状
2021年、ゴーン氏の逃亡を手助けしたアメリカ人の親子がアメリカから日本へ引き渡され、ともに実刑判決を受けた。
ゴーン被告は不正行為はなかったと主張し、日本の司法制度は「不正」だとした。日本は国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)にゴーン被告の国際手配を要請。逃亡先のレバノン政府は、国際逮捕手配書に相当する「赤手配書」を受け取った。これにより、同被告は現在、レバノンを離れることができない。
日本とレバノンは、犯罪人引渡し条約を結んでいない。
フランス当局は昨年、ゴーン被告に対し、逮捕状を出した。会社資金を私的に流用した疑いで捜査を進めていた。ゴーン被告は当時、訴追されても無実を証明できると述べた。
